1.オンライン申請は費用を抑えやすいが、
誰でも・何でも使えるわけではない
2026年10月1日から、在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料が大きく変わります。
これまで窓口申請では原則6,000円、オンライン申請では5,500円だった手数料が、改定後は許可される在留期間に応じた段階制になります。
改定後も、オンライン申請は窓口申請より低額に設定されている区分があります。
たとえば、1年の在留期間が許可された場合、窓口申請では33,000円、オンライン申請では27,000円です。3年以上5年未満の許可では、窓口64,000円に対してオンライン56,000円となります。
そのため、外国人本人や外国人雇用企業にとって、オンライン申請は更新・変更コストを抑える選択肢の一つになります。
ただし、オンライン申請は「手数料が安いから使う」だけではうまくいきません。利用できる人、対象となる手続、事前登録、申請情報の管理、納付方法、許可後の対応まで含めて、準備が必要です。
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2026年10月1日から、在留資格変更・更新の手数料が改定される
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オンライン申請は、窓口申請より低額になる区分がある
-
許可される在留期間が長いほど、窓口申請との差額も大きくなりやすい
-
オンライン申請には、利用者登録や事前の準備が必要になる
-
企業がオンライン申請を行う場合、申請等取次者としての承認または要件充足が必要になる
-
手数料の減額・免除措置を利用する場合は、オンライン申請では対応できず、窓口申請が必要となる
オンライン申請は「安い申請方法」ではありますが、
費用削減と適切な在留資格管理を両立するための運用体制があって初めて活用しやすくなる方法です。
2.オンライン申請を検討する際に、押さえておきたいポイント
-
Point 01
オンライン申請は、
窓口申請より安い場合がある
改定後は、許可される在留期間によって、窓口申請とオンライン申請の手数料に差が出ます。
特に1年以上の許可期間では、オンライン申請の方が低額になる区分が多いため、対象者が複数いる企業では年間コストに差が出る可能性があります。
-
Point 02
企業が使うには、事前の利用準備が必要
企業、特定技能所属機関、登録支援機関などがオンライン申請を利用する場合は、利用申出を行い、承認を受ける必要があります。
また、所属機関の職員が申請を行う場合には、申請等取次者としての承認を受けている、または承認要件を満たしていることが求められます。
-
Point 03
オンライン化しても、
書類と内容の確認は省略できない
オンライン申請にしても、在留資格と実際の仕事が合っているか、必要な会社資料がそろっているか、本人情報に変更がないかを確認する必要があります。
オンライン化は申請方法を変えるものであり、審査要件や会社の管理責任が軽くなるわけではありません。
3.窓口申請とオンライン申請で、手数料はどれだけ違うのか
2026年10月1日以降に受け付けられる在留資格変更許可・在留期間更新許可については、許可される在留期間ごとに手数料が決まります。
窓口申請とオンライン申請では、同じ許可期間でも手数料が異なる場合があります。
|
許可される在留期間 |
窓口申請 |
オンライン申請 |
差額 |
|
3か月以下 |
10,000円 |
10,000円 |
0円 |
|
3か月超6か月以下 |
18,000円 |
15,000円 |
3,000円 |
|
6か月超1年未満 |
25,000円 |
21,000円 |
4,000円 |
|
1年 |
33,000円 |
27,000円 |
6,000円 |
|
1年超3年未満 |
48,000円 |
42,000円 |
6,000円 |
|
3年以上5年未満 |
64,000円 |
56,000円 |
8,000円 |
|
5年以上 |
75,000円 |
65,000円 |
10,000円 |
この表を見ると、在留期間が長いほど、オンライン申請と窓口申請の差額も大きくなることが分かります。
たとえば、5年以上の在留期間が許可された場合、窓口申請では75,000円、オンライン申請では65,000円となり、10,000円の差があります。
外国人社員が1人だけの場合は、差額が限定的に見えるかもしれません。
しかし、複数の外国人社員を雇用している企業では、この差額が積み重なります。たとえば、3年以上5年未満の許可を受ける社員が10人いる場合、窓口申請とオンライン申請の差額は1人8,000円、合計80,000円になります。
ただし、オンライン申請では手数料とは別に決済手数料が発生します。
2026年10月以降、オンライン申請における手数料の納付は、コンビニ決済または銀行決済によって行うことになります。決済ごとに手数料がかかるため、実際の支払総額は表の金額より少し高くなります。
また、手数料は申請書を提出する時点で支払うものではありません。
原則として、許可された後に納付案内が届き、指定された方法で支払う流れになります。そのため、企業が更新費用を負担する場合は、申請した担当者と、納付案内を受け取る担当者、実際に経費処理をする担当者が分かれていると、支払い漏れが起きるおそれがあります。
オンライン申請を活用する場合は、単に「窓口より安い」という点だけを見るのではなく、
誰が申請し、誰が通知を確認し、誰が費用を支払い、どのように証憑を保管するかまで決めておく必要があります。

4.誰がオンライン申請を使えるのか
企業・本人・専門家の役割
オンラインによる在留手続は、誰でも自由に企業アカウントを作って申請できる仕組みではありません。
利用者ごとに条件があり、企業が外国人社員の手続を行う場合にも、一定の準備が必要になります。
まず、外国人本人は、一定の条件を満たせば自分でオンライン申請を行うことができます。
ただし、在留カードを持つ中長期在留者であることなどが前提となり、すべての在留資格やすべての人が対象になるわけではありません。短期滞在、外交、公用、在留期間が3か月以下の方などは、原則として利用できない場合があります。
企業が外国人社員の申請を行う場合は、所属機関の職員としてオンライン申請を利用することになります。
所属機関とは、外国人を受け入れている企業、学校などの教育機関、監理団体などを指します。企業が利用するためには、原則として申請等取次者としての承認を受けている、または承認要件を満たしている必要があります。
また、企業がオンライン申請を利用する場合は、事前に利用申出を行い、承認を受ける必要があります。
特定技能所属機関や登録支援機関も、必要な条件を満たしたうえで利用申出を行うことで、オンライン申請や届出システムを活用できます。
行政書士や弁護士に依頼する場合は、申請等取次者としての届出を行っている専門家が、依頼を受けてオンライン申請を行うことができます。
外国人雇用企業にとっては、自社で申請体制を整えるのか、行政書士に依頼してオンライン申請を活用するのかを選ぶことになります。
実務上は、次のように役割を分けて考えると分かりやすくなります。
|
利用者 |
主な役割 |
向いているケース |
|
外国人本人 |
自分自身の更新・変更申請を行う |
申請内容が比較的シンプルで、日本語や手続に不安が少ない場合 |
|
所属企業 |
自社で雇用する外国人社員の手続を管理する |
外国人社員数が多く、社内に管理担当者と体制がある場合 |
|
特定技能所属機関 |
特定技能外国人の更新・受入れ関連手続を管理する |
特定技能の受入れ体制や支援記録が社内で整っている場合 |
|
登録支援機関 |
委託を受けた特定技能の支援・届出に関わる |
複数企業の支援を行い、手続体制が整っている場合 |
|
行政書士・弁護士 |
依頼を受け、専門的判断を伴う申請を行う |
転職、職務変更、家族関係の変化、複雑な申請がある場合 |
企業がオンライン申請を導入する際は、安さだけでなく、自社が継続して運用できるかを見極める必要があります。
たとえば、外国人社員が数人で、更新頻度も多くない場合は、社内に制度知識を持つ担当者を置くより、行政書士に依頼した方が効率的な場合もあります。
反対に、外国人社員が多く、更新・変更・届出が継続的に発生する企業では、社内に管理担当者を置き、必要に応じて専門家と連携する体制を作ることで、更新漏れや費用負担を抑えやすくなります。
要するに、オンライン申請は、
自社で使えるかではなく、自社が責任を持って管理・運用できるかで判断することが大切です。
5.オンライン申請を導入する前に整えたい実務体制
オンライン申請を活用して在留資格の更新・変更費用を抑えたい場合、最初に整えるべきなのはシステムではなく、社内の管理体制です。
在留資格の申請は人事だけで完結するものではなく、本人、現場責任者、経理、外部専門家など、複数の関係者が関わることがあります。
まず、外国人社員の在留情報を一覧化します。
氏名、国籍、在留資格、在留期限、所属部署、担当業務、雇用形態、更新予定時期、費用負担者、申請担当者などを一つの管理表にまとめます。これがないと、誰の申請をいつ行い、誰が費用を支払うのかを管理できません。
次に、オンライン申請の担当者を明確にします。
申請書を作成する人、必要書類を集める人、本人と連絡を取る人、申請内容を確認する人、納付案内を確認する人、決済を行う人、許可後の在留カード受領を確認する人が、それぞれ誰なのかを決めます。
特に注意したいのは、オンライン申請後の納付です。
許可が出た後に納付案内を確認せず、支払いが遅れると、手続が止まる可能性があります。申請担当者と経理担当者の連携ができていないと、「誰かが払っていると思っていた」というトラブルが起きやすくなります。
また、オンライン申請にしても、紙で保管すべき情報や、社内で確認すべき記録は残ります。
雇用契約書、労働条件通知書、給与資料、会社概要、決算書類、支援記録、面談記録、本人のパスポート・在留カード情報などを、申請時にすぐ取り出せる形で管理しておく必要があります。
特定技能を受け入れている企業では、さらに注意が必要です。
特定技能では、更新申請だけでなく、支援計画の実施、生活相談、定期面談、支援記録、定期届出・随時届出などが関わります。オンラインで申請できるからといって、日常の支援記録が不要になるわけではありません。むしろ、オンライン申請を円滑に進めるためには、普段から支援の実施状況を整理しておく必要があります。
導入前に確認したい項目は、次のとおりです。
• 自社がオンライン申請の利用対象・利用条件を満たしているか
• 申請等取次者としての承認または要件確認ができているか
• 利用申出・利用承認の手続を進めているか
• 外国人社員の在留期限を一覧化しているか
• 申請書作成、書類収集、内容確認、提出、納付の担当者が決まっているか
• コンビニ決済または銀行決済の方法を社内で決めているか
• 決済手数料を含めた経費処理の流れが決まっているか
• 納付案内や許可通知を確認する担当者が決まっているか
• 在留資格と実際の業務内容の確認方法があるか
• 特定技能の支援記録や届出状況を管理できているか
• 本人が必要書類や手続の流れを理解できるよう説明できるか
• 困難な案件で行政書士などに相談する基準が決まっているか
また、費用の減額・免除措置を利用する場合には注意が必要です。
減額や免除の対象となる事情を説明する資料を提出する場合、オンライン申請では対応できず、窓口申請が必要になることがあります。このような例外もあるため、すべての手続を一律にオンライン化するのではなく、個別事情に応じて窓口申請と使い分けることが重要です。
要するに、オンライン申請によるコスト削減を成功させるには、
申請システムを導入することではなく、申請から納付、許可後の確認までを止めずに回せる社内運用を作ることが必要です。
6.まとめ:オンライン申請は
「安いから」ではなく「管理できるから」選ぶ
2026年10月1日から、在留資格変更・在留期間更新の手数料は、許可される在留期間に応じた段階制に変わります。
オンライン申請は窓口申請より低額となる区分が多く、最長区分では10,000円の差が出るため、外国人本人や企業にとって費用を抑える選択肢になります。
ただし、オンライン申請は、誰でも自由に利用できるわけではありません。
企業が利用する場合には、利用申出、利用承認、申請等取次者に関する条件、社内担当者の設置、決済管理など、事前に整えるべきことがあります。
今回のポイントは、
・オンライン申請は窓口申請より低額になる区分があること
・手数料だけでなく、決済手数料と社内運用の負担も考えること
・企業が利用するには、申請等取次者としての条件と利用承認が必要になること
・オンライン化しても、在留資格と業務内容、必要書類、支援記録の確認は必要であること
・減額・免除措置を利用する場合は、窓口申請が必要となることがあること
の5つです。
オンライン申請を検討するときは、
「いくら安くなるか」だけでなく、「誰が申請し、誰が支払い、誰が管理し続けるのか」
まで決めることが大切です。
その体制が整っていれば、オンライン申請は費用を抑えながら、更新漏れや手続ミスを防ぐ有効な選択肢になります。
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