1.面談は、「問題が起きた後」にするものではない
外国人社員との面談は、退職したいと言われたときや、トラブルが起きたときだけに行うものではありません。
仕事、生活、人間関係、健康、日本語、将来への不安を早めに把握し、本人が安心して働き続けられる環境を作るための重要な機会です。
定期的な面談を行い、本人の声を職場改善につなげることが、早期離職の防止につながります。
-
面談は、本人の本音と小さな不満を早めに把握するために行う
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仕事だけでなく、生活、健康、人間関係、日本語、将来の希望も確認する
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本人と現場責任者を同席させず、必要に応じて別々に話を聞く
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日本語だけで難しい場合は、通訳ややさしい日本語を活用する
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面談記録を残し、相談内容を改善につなげる
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特定技能1号では、本人と監督者に対して3か月に1回以上の定期面談が必要になる
外国人社員との面談で大切なのは、
「困っているか」を一度聞くことではなく、本人が安心して本音を話し、会社がその声に対応できる仕組みを作ることです。
2.早期離職を防ぐための面談で、企業が特に確認すべきポイント
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Point 01
面談は、入社直後ほど頻度を高くする
入社直後は、仕事内容、生活、言葉、人間関係など、多くの不安が同時に起こりやすい時期です。
3か月に1回の面談だけではなく、入社初日、1週間後、1か月後、3か月後など、最初の期間はこまめに確認する方が安心です。
-
Point 02
「仕事は大丈夫ですか」だけで終わらせない
本人は、上司や会社に迷惑をかけたくない、言葉が十分に話せない、評価が下がるのが不安といった理由から、「大丈夫です」と答えることがあります。
仕事、給与、住居、健康、人間関係、日本語、家族、将来など、具体的な質問を用意する必要があります。
-
Point 03
面談後に必ず対応し、結果を本人へ伝える
相談を聞くだけで何も変わらなければ、本人は次第に本音を話さなくなります。
面談で出た課題について、誰が対応するのか、いつまでに何をするのかを決め、対応結果を本人へ伝えることが重要です。
3.なぜ面談が早期離職の防止につながるのか
外国人社員が退職や転職を考えるまでには、多くの場合、何らかの不安や不満が積み重なっています。
仕事内容が聞いていた話と違う、給与明細が分からない、寮で困っている、
上司に質問しにくい、日本語が通じない、家族が心配している、将来が見えない・・・こうした問題は、最初は小さな違和感として始まることが多いです。
しかし、相談できる相手がいなければ、本人は問題を抱え込んでしまいます。
特に外国人社員の場合、日本語で十分に説明できない、職場のルールが分からない、上司に言うと怒られるかもしれない、退職したいと言うと不利益があるかもしれないと感じ、本音を話しにくいことがあります。
その結果、企業側は「問題なく働いていると思っていた」のに、本人から突然「辞めたい」「別の会社へ行きたい」と言われることになります。
場合によっては、無断欠勤、連絡不通、急な退職、転職活動、失踪といった形で問題が表面化することもあります。
定期的な面談は、こうした問題を早い段階で見つけるための仕組みです。
面談を通じて、本人の理解不足、不満、生活上の困難、職場内の孤立、ハラスメント、安全上の不安、転職希望などを把握し、必要な対応につなげます。
特定技能1号では、支援の一環として、外国人本人とその監督をする立場にある人に対して、定期的な面談を行う必要があります。
本人への面談だけでなく、現場責任者や直属の上司からも話を聞くことで、本人の話と現場側の認識にズレがないか、教育や勤務状況に問題がないかを確認できます。
ただし、本人と監督者を同じ場で面談すると、本人が本音を話しにくくなる可能性があります。
本人が安心して相談できるよう、本人面談と監督者面談は別々に行い、それぞれの立場から状況を確認することが重要です。
面談で確認したい主な分野は、次のとおりです。
|
確認する分野 |
面談で把握したいこと |
|
仕事内容 |
作業内容を理解しているか、難しい仕事はないか |
|
安全・品質 |
危険なこと、不安な作業、教えてもらえていないことはないか |
|
勤務時間 |
残業、休日、休憩、出退勤に問題がないか |
|
給与・控除 |
給与明細、残業代、控除について分からないことはないか |
|
人間関係 |
上司・同僚に質問できるか、嫌がらせや孤立はないか |
|
日本語 |
分からない言葉、学習したいこと、仕事上困る場面はないか |
|
生活 |
寮、住居、買い物、病院、交通、行政手続に困りごとはないか |
|
健康 |
体調、睡眠、けが、精神的な負担がないか |
|
家族 |
家族との関係、送金、将来の生活に不安がないか |
|
キャリア |
今後できるようになりたい仕事、資格、転職意向があるか |
面談は、本人を評価するためだけに行うものではありません。
本人が困っていることを把握し、企業が必要な支援や職場改善を行うための場です。
要するに、面談が早期離職の防止につながるのは、
問題が大きくなる前に本人の声を聞き、本人が「この会社は自分の話を聞いてくれる」と感じられるからです。

4.面談で何を聞くべきか
本音を引き出す質問の作り方
面談で「困っていることはありますか」とだけ聞いても、本人が「ありません」「大丈夫です」と答えて終わることがあります。
これは、本人が本当に問題を感じていないとは限りません。質問の意味が分からない、何を言えばよいか分からない、話すと迷惑をかけると思っている、通訳を介して本音を言いにくいといった理由もあります。
そのため、面談では抽象的な質問だけではなく、本人が答えやすい具体的な質問を用意することが大切です。
「はい・いいえ」で終わらない質問と、選択肢を示す質問を組み合わせると、困りごとを見つけやすくなります。
たとえば、仕事については、「仕事は大丈夫ですか」ではなく、次のように聞きます。
- ・今の仕事で、難しいと感じる作業はありますか
- ・分からないとき、誰に質問していますか
- ・作業手順をもう一度説明してほしいことはありますか
- ・危ないと思ったこと、怖かったことはありますか
- ・日本語が分からなくて困った場面はありましたか
- ・上司や先輩は、質問したときに教えてくれますか
- ・残業や休日出勤について、分からないことはありますか
- ・給与明細を見て、分からない項目はありますか
・生活面については、次のような質問が考えられます。
- ・寮や住居で困っていることはありますか
- ・電気、ガス、水道、インターネット、携帯電話は問題なく使えていますか
- ・買い物、病院、銀行、役所へ行くときに困ることはありますか
- ・体調が悪いとき、誰に連絡すればよいか分かりますか
- ・日本での生活で、心配なことはありますか
- ・家族との連絡や送金で困っていることはありますか
- ・休みの日はどのように過ごしていますか
- ・相談できる友人や知人はいますか
人間関係や将来については、次のように確認します。
- ・職場で話しやすい人はいますか
- ・上司や同僚から嫌な言い方をされたことはありますか
- ・職場で一人だと感じることはありますか
- ・日本語をもっと勉強したいですか
- ・今後、できるようになりたい仕事はありますか
- ・給与や評価について、聞きたいことはありますか
- ・会社を辞めたい、別の仕事をしたいと思ったことはありますか
- ・会社に改善してほしいことはありますか
面談で質問する内容を、次のように整理しておくと実務で使いやすくなります。
|
面談項目 |
確認する内容 |
早期対応が必要なサイン |
|
仕事 |
理解度、指導、作業負担、配置 |
「分からない」「教えてもらえない」「仕事が違う」 |
|
安全 |
危険作業、保護具、教育 |
「怖い」「危ない」「止められない」 |
|
勤怠 |
残業、休日、休憩、欠勤 |
「休めない」「残業代が分からない」 |
|
給与 |
給与明細、控除、昇給 |
「給料が少ない」「勝手に引かれた」 |
|
人間関係 |
上司、同僚、孤立、ハラスメント |
「怒られる」「話せない」「一人」 |
|
生活 |
住居、交通、病院、手続 |
「寮が困る」「病院に行けない」 |
|
健康 |
体調、けが、睡眠、精神面 |
「眠れない」「頭が痛い」「つらい」 |
|
日本語 |
理解不足、学習希望、通訳 |
「日本語が分からない」「聞けない」 |
|
将来 |
キャリア、試験、転職意向 |
「将来が見えない」「辞めたい」 |
また、面談を行う場所にも配慮が必要です。
現場の休憩室で上司や同僚が近くにいる状態では、本人は本音を話しにくくなります。できるだけ落ち着いて話せる場所を用意し、他の社員に聞かれない環境を作ることが大切です。
通訳を使う場合も、本人が安心できる相手かを確認する必要があります。
同じ職場の知人や上司が通訳をすると、本人が給与、人間関係、ハラスメント、転職希望などについて話しにくい場合があります。必要に応じて、外部通訳や登録支援機関の担当者などを活用することも検討します。
要するに、面談で重要なのは、
本人が「問題があります」と言える質問を用意し、安心して答えられる環境を作ることです。
5.面談を形だけで終わらせない
記録・対応・再確認の流れ
面談は、実施しただけでは早期離職の防止につながりません。
面談で出た内容を記録し、必要な対応を行い、その結果を本人へ伝え、次回面談で改善されたかを確認することが重要です。
まず、面談後には記録を残します。
記録には、面談日、面談者、通訳の有無、本人が話した内容、困りごと、会社側が確認した事項、対応が必要な内容、担当者、対応期限などを記載します。
ただし、面談記録は本人の評価を下げるための資料ではありません。
本人が安心して相談できるよう、必要な情報を適切に取り扱い、本人の同意なく不必要に広く共有しないことが大切です。
次に、面談で出た課題に対して、担当者と対応期限を決めます。
たとえば、給与明細が分からないという相談があれば、人事担当者が説明する。寮の設備に問題があるなら、総務担当者が確認する。上司との関係に問題があるなら、人事や管理職が状況を確認する。日本語学習を希望しているなら、登録支援機関や人事が学習機会を案内するといった形です。
面談後の対応を整理すると、次のようになります。
|
面談で出た課題 |
主な対応者 |
対応例 |
|
作業が分からない |
現場責任者・教育担当者 |
作業手順の再説明、写真付き資料、教育時間の確保 |
|
安全が不安 |
現場責任者・安全担当者 |
危険箇所の確認、保護具の再教育、作業配置の見直し |
|
給与・控除が不明 |
人事・総務 |
給与明細の説明、控除根拠の案内 |
|
寮・生活の困りごと |
総務・登録支援機関 |
住居設備の確認、生活手続の案内 |
|
人間関係・ハラスメント |
人事・管理職 |
事実確認、配置変更、相談窓口案内 |
|
体調・メンタル不調 |
人事・健康担当者 |
医療機関案内、休暇・勤務配慮、継続確認 |
|
日本語学習の希望 |
人事・登録支援機関 |
教室・教材の案内、学習時間の調整 |
|
転職・退職希望 |
人事・行政書士・登録支援機関 |
退職理由の確認、制度説明、必要手続の案内 |
対応した後は、必ず本人へ結果を伝える必要があります。
たとえば、「寮の設備を確認しました」「給与明細を来週一緒に説明します」「作業手順書を作り直します」「上司と話し、教育担当者を変えます」といったように、本人が「相談してよかった」と感じられる説明を行います。
一度相談しても改善されなかった場合、本人は次から話をしなくなります。
だからこそ、すぐに解決できない問題であっても、「今はここまで対応している」「次にいつ確認する」と伝えることが重要です。
また、面談の内容を個人対応だけで終わらせず、職場全体の改善にも活かす必要があります。
同じような相談が複数の外国人社員から出ている場合は、個人の問題ではなく、会社の仕組みの問題かもしれません。
たとえば、給与明細についての質問が多いなら、やさしい日本語の説明表を作る。
作業が分からないという声が多いなら、写真付き手順書や教育方法を見直す。
寮の不満が多いなら、住居ルールや設備を改善する。
上司に質問しにくいという声が多いなら、現場責任者への教育や相談ルートを見直す、といった改善につなげます。
特定技能1号の場合は、3か月に1回以上の定期面談が必要になります。
しかし、制度上の頻度だけを守るのではなく、入社直後、配置転換後、仕事や生活に変化があったとき、本人が不安を示したときには、追加の面談を行うことが大切です。
要するに、面談を機能させるには、
聞く、記録する、対応する、本人へ返す、次回確認するという流れを止めないことが必要です。
6.まとめ:早期離職を防ぐ面談は、
「聞く場」ではなく「信頼を作る場」
外国人社員との面談は、問題が起きた後の確認作業ではありません。
仕事、生活、人間関係、健康、日本語、給与、将来への不安を早めに把握し、本人が安心して働き続けられるようにするための重要な仕組みです。
企業が行うべきことは、
・入社直後は、1週間後、1か月後、3か月後など、こまめに面談すること
・仕事だけでなく、給与、生活、健康、人間関係、日本語、将来まで具体的に確認すること
・本人と監督者から、必要に応じて別々に話を聞くこと
・通訳ややさしい日本語を使い、本人が理解できる言葉で面談すること
・面談記録を残し、担当者と対応期限を決めること
・対応結果を本人へ伝え、次回面談で改善状況を確認すること
の6つです。
外国人社員との面談で最も大切なのは、
本人が「困ったことを話しても大丈夫」「相談すれば会社は対応してくれる」と感じられることです。
その信頼があれば、問題は早い段階で表面化し、早期離職や大きなトラブルになる前に対応しやすくなります。
外国人社員の定着を図るためには、早めの対策が重要です。文化や言語の壁を乗り越えるためには、まず彼らの意見や感情をしっかりと聞く体制を整える必要があります。これにより、早期離職を防ぎ、企業としても多様な人材を確保することができます。
面談の仕組みを導入する際には、特に外国人社員のニーズに合った質問を準備することが求められます。そのため、業務に対しての満足度や職場環境に対する彼らの意見を具体的に聞く姿勢が重要です。外国人の社員がどのような点で不安を感じているのか、困りごとは何かを考えながら、面談を進めることが、彼らの定着につながります。
また、面談を効果的に行うための技術的なサポートも必要です。具体的には、言語の壁を超えるための通訳サービスや、様々なコミュニケーションツールの活用が考えられます。これにより、面談の質も向上し、より本音を引き出すことができるようになります。一方的なコミュニケーションに終わらないよう、参加型の面談を心がけることも大切です。結局、外国人社員の定着には、組織全体が彼らを支え合う文化を醸成することが求められます。教えてもらった成功事例を参考にしながら、企業としても積極的に面談の仕組みを整えていきましょう。
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