1.特定技能の届出は、「年1回の報告」だけではない
特定技能外国人を受け入れる企業には、受入れ・活動・支援の状況を報告する定期届出と、雇用契約や受入れ状況に変化があったときに行う随時届出があります。
定期届出は年1回になりましたが、退職、契約変更、受入れ困難、支援体制の変更などがあれば、別途、期限内に随時届出が必要になります。
届出を漏らさないためには、入管手続を担当者個人に任せず、人事・現場・登録支援機関で情報を共有することが重要です。
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定期届出は、対象年度の受入れ・活動・支援実施状況を年1回報告する手続
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定期届出の対象期間は4月1日から翌年3月31日まで、提出期間は翌年4月1日から5月31日まで
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雇用契約の変更・終了、受入れ困難、支援計画の変更などは随時届出の対象になる
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随時届出は、原則として事由が生じた日から14日以内に提出する
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自己都合退職でも、雇用契約終了に関する届出が必要になる
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登録支援機関へ委託していても、受入企業が雇用・契約・現場状況を把握しておく必要がある
特定技能の届出管理で大切なのは、
年1回の定期届出を忘れないことだけではなく、日々起こる雇用・支援・受入れ状況の変化を、14日以内に届け出られる仕組みを作ることです。
2.特定技能の定期届出・随時届出を漏らさないために、
受入企業が優先して確認すべきポイント
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Point 01
定期届出と随時届出を
別の手続として管理する
定期届出は、年度ごとの受入れ・活動・支援の実施状況をまとめて報告する手続です。
一方、随時届出は、雇用契約や受入れ体制に変化があったときに、その都度行う手続です。年1回の定期届出へ変わったことで、随時届出まで年1回でよいと誤解しないように注意が必要です。
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Point 02
退職・契約変更・受入れ困難は、
現場からすぐ人事へ共有する
本人が退職を申し出た、長期欠勤が続いている、行方不明になった、雇用契約を変更する、事業縮小で受入れを続けられないといった情報は、現場で最初に把握されることが多いです。
届出期限は原則14日以内のため、現場責任者が情報を止めず、人事・総務・登録支援機関へすぐ共有する仕組みが必要です。
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Point 03
登録支援機関に委託しても、
企業が最終確認を行う
支援計画の全部を登録支援機関へ委託している場合でも、雇用契約、賃金、勤怠、退職、配置、事業所の状況などを最も把握しているのは受入企業です。
誰が届出書を作成するかだけでなく、誰が事実関係を確認し、誰が提出期限を管理するかを明確にする必要があります。
3.定期届出とは何か
年1回の報告で確認されること
定期届出とは、特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関が、受入れ状況、外国人本人の活動状況、支援の実施状況を、年度ごとに入管へ報告する手続です。
以前は四半期ごとの届出が中心でしたが、現在は年度単位でまとめて提出する年1回の届出へ変わっています。
対象期間は毎年4月1日から翌年3月31日までで、その期間の状況を翌年度の4月1日から5月31日までに提出します。
たとえば、2026年4月1日から2027年3月31日までに特定技能外国人を1日でも受け入れていた場合、その期間の状況を2027年4月1日から5月31日までに届け出ることになります。
定期届出では、単に「特定技能外国人が在籍しているか」だけを報告するわけではありません。
受入企業が、雇用契約どおりに雇用しているか、本人が適切な業務に従事しているか、報酬を適切に支払っているか、支援計画に基づく支援を実施しているかなどを整理して報告する必要があります。
定期届出で確認する主な内容は、次のとおりです。
|
確認する分野 |
主な確認内容 |
|
受入れ状況 |
特定技能外国人の人数、所属事業所、受入れの継続状況 |
|
雇用契約 |
契約内容、雇用期間、担当業務、勤務先の状況 |
|
活動状況 |
実際の業務内容、勤務日数、労働時間、休暇、欠勤など |
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報酬 |
賃金、手当、残業代、控除、給与支払の状況 |
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労務管理 |
社会保険、労働保険、安全衛生、労働条件の適正性 |
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支援実施状況 |
生活支援、相談対応、定期面談、日本語学習支援など |
|
相談・通報 |
労働基準監督署やハローワークへの相談、問題対応の状況 |
|
登録支援機関 |
支援委託の有無、委託内容、支援実施の状況 |
定期届出の提出主体は、原則として特定技能所属機関である受入企業です。
登録支援機関へ支援を委託している場合でも、受入企業が雇用や勤務状況を把握せず、すべてを任せきりにしてよいわけではありません。
たとえば、登録支援機関は面談や生活支援の記録を持っていても、実際の給与、残業、欠勤、業務変更、現場での指導状況などは企業側が把握している必要があります。
定期届出の時期になってから資料を集め始めると、情報不足や記録漏れが起きやすくなります。
そのため、企業では月次または四半期ごとに、必要な情報を整理しておく方が安全です。
勤務日数、労働時間、給与、面談、生活支援、相談内容、雇用契約の変更などを、日頃から記録しておけば、年1回の定期届出でも慌てずに対応できます。
定期届出で重要なのは、提出することだけではありません。
受入企業が、特定技能外国人を適正に雇用し、支援計画どおりに受入れを行っていることを、記録とともに説明できる状態にしておくことです。

4.随時届出とは何か
14日以内に対応すべき主なケース
随時届出とは、特定技能外国人の雇用契約、受入れ体制、支援計画、企業の状況などに変化があった場合に、その都度行う届出です。
定期届出と違い、年度末まで待つことはできません。原則として、届出の理由となる事実が生じた日から14日以内に提出する必要があります。
随時届出で特に注意が必要なのは、退職や受入れ困難です。
本人が自己都合で退職した場合でも、雇用契約が終了したことについて届出が必要になります。自己都合だから会社は何もしなくてよい、ということではありません。
また、企業の経営悪化、事業縮小、事業所の閉鎖、解雇、雇止め、長期の休業、本人の行方不明などにより、特定技能外国人を受け入れ続けることが難しくなった場合には、受入れ困難に関する届出が必要になります。
受入れ困難に関する届出は、実際に退職日を迎えてから考えるものではありません。
解雇や雇止め、事業縮小などにより、企業として受入れ継続が難しくなった時点で、早めに対応する必要があります。その後、雇用契約が終了した場合には、雇用契約終了に関する届出も必要になります。
随時届出が必要になりやすい主なケースは、次のとおりです。
|
事由 |
主な届出・確認 |
注意点 |
|
雇用契約の内容変更 |
特定技能雇用契約に係る届出 |
賃金、勤務先、業務、契約期間などの変更を確認する |
|
雇用契約の終了 |
特定技能雇用契約終了に係る届出 |
自己都合退職でも必要になる |
|
新たな契約締結 |
特定技能雇用契約に係る届出 |
一度終了した後に再契約する場合なども確認する |
|
受入れ困難 |
受入れ困難に係る届出 |
解雇、事業縮小、倒産、行方不明などで必要になる |
|
支援計画の変更 |
支援計画変更に関する届出 |
委託先、支援内容、支援体制の変更を確認する |
|
支援委託契約の変更・終了 |
登録支援機関との契約に関する届出 |
委託先の変更や委託終了時に確認する |
|
企業の基準不適合 |
基準不適合に関する届出 |
法令違反、社会保険・税の問題などを確認する |
|
企業情報の変更 |
所在地、名称、代表者などの変更に関する届出 |
法人情報・事業所情報の変更を管理する |
|
長期の活動未実施 |
受入れ状況に関する届出・説明 |
1か月以上活動しない場合など、状況確認が必要になる |
|
行方不明・失踪 |
受入れ困難に関する届出など |
最終出勤日、連絡履歴、確認経過を記録する |
随時届出では、何が起きたかだけでなく、いつ起きたかを正確に記録することが重要です。
たとえば、退職の申出を受けた日、解雇を決めた日、契約内容を変更した日、本人と連絡が取れなくなった日、事業縮小が決定した日などを記録しなければ、14日以内という期限を正しく管理できません。
また、届出に必要な説明書や補足資料が求められる場合もあります。
たとえば、受入れ困難に関する届出では、受入れが困難になった経緯、本人への説明、転職支援や生活支援の状況、活動未実施期間や行方不明に至った経過などを整理する必要があります。
届出を期限後に提出する場合、遅れた理由を説明する文書が必要になることがあります。
「忙しかった」「担当者が休んでいた」といった理由で対応を後回しにすると、企業の受入れ体制に対する信頼を損なうおそれがあります。
要するに、随時届出で重要なのは、
退職やトラブルが起きてから書類を探すことではなく、変化が起きた瞬間に、誰が何を確認し、14日以内に届け出るかを決めておくことです。
5.届出漏れを防ぐための実務体制
人事・現場・登録支援機関の連携
特定技能の届出漏れは、制度を知らないことだけで起こるわけではありません。
実際には、現場で起きた変化が人事へ伝わらない、人事が登録支援機関へ伝えない、登録支援機関が届出の必要性を確認できない、といった情報共有の不足から起こることが多いです。
たとえば、本人が現場責任者へ「来月で辞めたい」と話したとします。
現場責任者が「人事へは後で伝えよう」と考えているうちに日数が過ぎ、退職日が近くなって初めて人事が知ると、届出や本人への案内が間に合わなくなるおそれがあります
。
また、賃金や勤務先、業務内容、雇用契約の変更も、現場や人事では「通常の人事対応」として処理されることがあります。
しかし、特定技能では、変更内容によって届出が必要になる場合があります。日本人社員と同じ感覚で変更してしまうと、入管手続の確認が漏れる可能性があります。
届出漏れを防ぐためには、特定技能外国人に関する変化を、一定のルールで人事・総務・現場責任者・登録支援機関へ共有する必要があります。
企業が作っておきたい連携体制は、次のとおりです。
|
変化が起きた場面 |
現場責任者が行うこと |
人事・総務が行うこと |
登録支援機関との連携 |
|
退職希望 |
退職希望日・理由を聞き、すぐ共有する |
契約終了・届出・最終給与を確認する |
本人支援、転職相談、生活支援を連携する |
|
長期欠勤 |
出勤状況・連絡履歴を記録する |
雇用継続の可否、届出の要否を確認する |
本人の安否・生活状況を確認する |
|
契約変更 |
業務・勤務地・勤務時間の変更を共有する |
雇用契約と届出の要否を確認する |
支援計画への影響を確認する |
|
受入れ困難 |
事業縮小・配置不能などを早めに共有する |
受入れ困難届出、本人への説明を進める |
転職支援、相談対応を連携する |
|
事業所変更 |
現場の所在地・業務変更を共有する |
法人情報・届出の要否を確認する |
支援先や面談場所への影響を確認する |
|
支援上の問題 |
本人の困りごとを共有する |
労務・安全・配置の改善を行う |
面談・生活支援・相談対応を行う |
また、特定技能外国人ごとに、管理表を作成しておくと便利です。
管理表には、在留期限、雇用契約期間、勤務先、担当業務、給与、登録支援機関、定期面談日、定期届出対象年度、届出が必要になった事実、届出期限、提出日などを記載します。
特に、随時届出については、「事由発生日」「届出期限」「提出日」の三つを必ず記録することが重要です。
これにより、誰がいつ何を届け出たかを確認でき、担当者が変わっても管理を引き継ぎやすくなります。
企業が月次で確認したい項目は、次のとおりです。
- 特定技能外国人の在留期限と雇用契約期限
- 勤務先、担当業務、雇用形態、給与の変更
- 退職希望、転職希望、長期欠勤、無断欠勤の有無
- 定期面談の実施状況と相談内容
- 登録支援機関への委託内容や担当者の変更
- 支援計画どおりに支援が実施されているか
- 受入企業の所在地、代表者、法人情報の変更
- 社会保険、税、労働法令に関する問題の有無
- 随時届出が必要な事由が発生していないか
- 年1回の定期届出に向けた記録がそろっているか
ここで重要なのは、登録支援機関へ支援を委託している場合でも、受入企業が「自社では何も管理しなくてよい」と考えないことです。
登録支援機関は支援の専門家ですが、雇用契約、賃金、勤務時間、業務内容、事業縮小、退職の経緯などは、企業側が最も正確に把握しています。
要するに、届出漏れを防ぐ仕組みとは、
届出担当者だけが制度を知っている状態ではなく、現場で起きた変化が期限内に届出担当者へ届く状態を作ることです。
6.まとめ:特定技能の届出管理は、
「年1回の提出」ではなく「日常の変化管理」
特定技能の届出には、年度ごとに受入れ・活動・支援の状況をまとめて報告する定期届出と、雇用契約や受入れ状況に変化があったときに行う随時届出があります。
定期届出は年1回となりましたが、随時届出は、退職、雇用契約の変更、受入れ困難、支援体制の変更、長期欠勤、行方不明などの事由が生じた日から、原則14日以内に対応する必要があります。
企業が行うべきことは、
・定期届出の対象期間と提出期間を年間予定へ入れること
・受入れ・活動・支援の状況を日頃から記録すること
・退職、契約変更、受入れ困難などの情報を現場からすぐ共有すること
・随時届出では、事由発生日と14日以内の期限を管理すること
・登録支援機関へ委託していても、企業が雇用・契約・現場状況を把握すること
・人事、現場、登録支援機関、行政書士の役割分担を明確にすること
の6つです。
特定技能の届出で最も大切なのは、
年1回の定期届出を提出することだけではなく、雇用や支援に変化が起きたときに、企業がすぐ気付き、正しい手続へつなげられることです。
日常の情報共有と記録管理を整えることで、届出漏れを防ぎ、特定技能外国人の安定した受入れにつなげることができます。
特定技能の定期届出・随時届出は、受入れ人数や雇用状況、発生した事由によって確認すべき内容が異なります。「この変更は届出が必要?」「いつまでに、どの書類を提出すればよい?」「社内で情報をどう管理すれば漏れを防げる?」など、判断に迷うことがあれば、早めにご相談ください。期限が迫っている場合や、過去の届出状況に不安がある場合も、まずは現在の状況を整理するところからお手伝いします。
初回のご相談では、受入れ企業の業種や在籍する特定技能外国人の人数、確認したい出来事など、基本的な情報をお伝えいただければ大丈夫です。必要となる書類や確認事項は、内容を伺ったうえでご案内します。電話またはメールフォームからお問い合わせいただけるほか、全国の企業様を対象にオンラインでのご相談にも対応しております。日本語・英語・ベトナム語でのご相談も可能です。
行政書士MP法務事務所では、届出対象や期限の確認、必要書類の整理、記載内容の確認から提出まで、企業様の状況に応じて一貫してサポートいたします。社内の担当者や期限の管理方法を整えたい場合も、実務に合わせた進め方をご提案します。届出漏れを防ぎ、安心して外国人材の受入れを続けるために、まずはお気軽にお問い合わせください。
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