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1.外国人社員へのハラスメントは、

          言葉の壁によって見えにくくなる

外国人社員へのハラスメントは、本人が日本語で十分に相談できないことや、在留資格・仕事・生活への不安から、表面化しにくいことがあります。

現場責任者が「厳しく指導しているだけ」と考えていても、言い方や繰り返し、国籍・日本語能力への扱いによっては、本人にとって大きな負担になる場合があります。 重要なのは、問題が起きてから対応するのではなく、相談しやすく、差別や威圧が起きにくい現場を日頃から作ることです。


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    外国人社員も、日本人社員と同じようにハラスメント防止の対象となる

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    国籍、出身地、日本語力、文化、在留資格などを理由にした侮辱的な言動は問題になる

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    「日本語ができないから」「外国人だから」といった決めつけは、指導ではなく差別的な扱いになり得る

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    現場責任者は、業務指導と人格否定・威圧的言動を区別する必要がある

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    相談窓口は、外国人社員が理解できる言葉で案内し、実際に使える状態にする

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    相談を受けたときは、本人を責めず、秘密保持と不利益取扱いの防止を徹底する

外国人雇用のハラスメント対策で大切なのは、
「外国人に特別なルールを作ること」ではなく、誰もが理解でき、安心して相談できる職場のルールを作ることです。


「指導のつもり」が問題に?知っておきたいハラスメントの基本

2.外国人社員へのハラスメントを防ぐために、
現場責任者が特に意識すべきポイント

  • Point 01

    指導とハラスメントの違いを理解する



    安全、品質、納期、ルールを守るための指導は必要です。
    しかし、大声で怒鳴る、人格を否定する、皆の前で繰り返し恥をかかせる、無視する、必要以上に威圧するなどは、適切な指導とはいえません。業務上必要な注意であっても、伝え方や頻度、状況によって問題になることがあります。


  • Point 02

    日本語力や国籍を理由に、

    仕事や待遇を不当に分けない


    「外国人だから簡単な仕事だけ」「日本語が下手だから説明しなくてよい」「外国人は残業を断らない」「この国の人はこういう性格だ」といった考え方は危険です。
    能力、経験、技能、勤務状況に基づいて判断し、国籍や出身地による決めつけをしないことが重要です。


  • Point 03

    本人が本音を話せる相談ルートを複数作る



    現場の上司が相談相手になるだけでは、本人が上司自身の問題を相談できません。
    人事・総務、登録支援機関、外部窓口、通訳を介した相談先など、複数のルートを用意し、本人が理解できる言葉で繰り返し案内する必要があります。


3.外国人社員へのハラスメントで起こりやすい場面

外国人社員へのハラスメントは、明らかな暴力や暴言だけではありません。


日常の指導、雑談、配置、評価、給与、住居、生活支援の中にも、本人を傷つけたり、孤立させたりする行為が含まれることがあります。


特に外国人社員は、日本の職場文化や労働法に詳しくない場合があります。


また、「会社に迷惑をかけたくない」「在留資格に影響するかもしれない」「転職できないかもしれない」「日本語で説明できない」と感じ、問題があっても相談をためらうことがあります。


そのため、企業側が「何も相談がないから問題はない」と考えるのは危険です。


相談がないのではなく、相談できない状態になっている可能性があります。


外国人雇用の現場で起きやすい問題を整理すると、次のようになります。

起こりやすい場面

問題となり得る言動・対応

現場責任者が注意すべきこと

作業ミスへの指導

大声で怒鳴る、皆の前で侮辱する、人格を否定する

ミスの原因と改善方法を具体的に伝える

日本語に関する指摘

「日本語が下手だから使えない」「話すな」と言う

理解できる方法で教え、質問しやすくする

国籍・文化への発言

国籍や出身地をからかう、偏見を言う

国籍・文化を話題にして評価や侮辱をしない

仕事の割当て

外国人だけに危険・単純・不人気な仕事を集中させる

能力・経験・安全面を基準に公平に配置する

残業・休暇

「外国人だから残業して」「休むな」と圧力をかける

労働時間・休暇のルールを公平に運用する

給与・控除

質問を嫌がる、説明しない、控除を曖昧にする

給与明細と控除を分かる形で説明する

住居・生活

寮のルールを一方的に押し付ける、私生活を過度に監視する

仕事と私生活の境界を守り、生活支援は本人の尊重を前提に行う

相談・面談

相談した本人を不利に扱う、内容を周囲に広める

秘密保持と不利益取扱いの防止を徹底する

退職・転職希望

辞めさせない、脅す、書類を出さない、在留カードを返さない

本人の意思を尊重し、必要な手続を適正に進める


特に注意したいのは、「冗談のつもり」「文化の違いだから仕方ない」「仕事が遅いから厳しく言っただけ」といった言い訳です。


言った側に悪意がなくても、受け取る本人が侮辱された、威圧された、差別されたと感じ、就業環境が悪化している場合には問題になります。


たとえば、「この国の人は時間にルーズだ」「外国人だから難しい仕事は無理だ」「日本語ができない人は意見を言わなくていい」といった発言は、本人の能力や行動ではなく、国籍や属性を理由に扱いを決める発言です。


こうした言動は、本人の意欲を下げるだけでなく、職場全体に偏見や排除の空気を作るおそれがあります。


また、外国人社員に対してだけ、過剰な私生活管理を行うことにも注意が必要です。


住居や生活の支援は必要ですが、休日の行動を過度に監視する、交友関係を一方的に制限する、私生活上の問題を理由に不当な扱いをするといった対応は適切ではありません。


要するに、外国人社員へのハラスメント対策で重要なのは、
「外国人だからこう扱う」という発想をなくし、仕事上必要な指導と、人格・属性への攻撃を明確に分けることです。


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現場責任者が今日からできる、予防のための5つの工夫

4.現場責任者が実践すべき、

伝え方と指導の基本


現場責任者には、安全、品質、納期、生産性を守るために、部下へ指示し、注意し、時には厳しく指導する役割があります。


そのため、ハラスメント対策は「注意してはいけない」「厳しく指導してはいけない」という意味ではありません。


重要なのは、何を伝えるかではなく、どのように伝えるかです。


本人の人格や国籍を否定するのではなく、具体的な行動、事実、危険、改善方法に焦点を当てて伝える必要があります。


たとえば、次のように言い換えることができます。

避けるべき言い方

望ましい伝え方

「何回言えば分かるの。使えない」

「この作業はここが大切です。もう一度一緒に確認しましょう」

「外国人だから遅い」

「この作業は10分を目標にしています。難しいところはどこですか」

「日本語が下手だから話さなくていい」

「分からないときは、短い言葉でも聞いてください。図でも説明します」

「みんなの前で大声で叱る」

「安全に関わるため、場所を変えて具体的に説明します」

「残業できないなら帰っていい」

「残業が難しい事情があれば、事前に相談してください」

「この仕事が嫌なら国に帰ればいい」

「仕事で困っていることがあれば、面談で一緒に考えます」

「そんなこともできないのか」

「この部分は難しいので、手順を分けて練習しましょう」


現場責任者が意識したいのは、次の三つです。


一つ目は、指示を具体的にすることです。
「ちゃんとやって」「もっと早く」「気を付けて」といった曖昧な表現は、外国人社員にとって理解しにくい場合があります。何を、いつまでに、どの基準で行うのかを、短い文で伝える必要があります。


二つ目は、理解確認を行うことです。
「分かりましたか」と聞くと、本人は分からなくても「はい」と答えることがあります。本人に作業手順を説明してもらう、実際にやってもらう、指差しで確認するなど、理解を確認する方法を使うことが重要です。


三つ目は、人前で必要以上に叱らないことです。
安全上の理由などでその場で止める必要がある場合は別として、人格に関わる注意や長時間の叱責を他の社員の前で行うと、本人の尊厳を傷つけ、萎縮や孤立につながります。改善点はできるだけ個別に伝え、次にどうすればよいかを具体的に示すことが大切です。


また、現場責任者自身が、文化的な違いを「能力不足」や「やる気のなさ」と決めつけないことも必要です。


たとえば、日本では「分からないことはすぐ質問する」ことが求められやすい一方、国や文化によっては、上司へ質問することを失礼と感じる人もいます。


こうした違いがある場合、「なぜ質問しないのか」と叱るのではなく、「分からないときは聞いてよい」「危険なときは必ず止めて相談する」と、職場のルールとして明確に伝える必要があります。


現場責任者が日常的に実践したいことは、次のとおりです。

  • 指示は短く、具体的に伝える
  • やさしい日本語、写真、図、実演を使う
  • 本人が理解できたかを復唱・実演で確認する
  • ミスを人格ではなく、作業・手順・環境の問題として扱う
  • 人前で侮辱したり、長時間怒鳴ったりしない
  • 国籍、日本語力、文化を理由に決めつけない
  • 質問、相談、休暇希望を言いやすい雰囲気を作る
  • 安全上の問題は、本人の責任だけでなく教育方法も見直す
  • 相談を受けた内容を、むやみに他の社員へ広げない
  • 自分の指導方法についても、定期的に振り返る


要するに、現場責任者に求められるのは、
外国人社員に甘く接することではなく、誰に対しても伝わる方法で、尊重を持って指導することです。


5.相談窓口と初動対応


相談されたときに企業がしてはいけないこと


ハラスメント対策では、相談窓口を設けるだけでは不十分です。


外国人社員が窓口の存在を知り、本人が理解できる言葉で利用でき、相談したことで不利益を受けないと信じられる状態を作る必要があります。


企業には、ハラスメントを防止する方針を明確にし、相談窓口を設け、相談があった場合に適切に対応することが求められます。


パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントについても、企業規模にかかわらず防止措置が必要です。


外国人社員向けには、相談窓口の案内を日本語だけで掲示しても、十分に伝わらない可能性があります。


やさしい日本語、英語、本人の母語、図や連絡先カードなどを使い、「誰に」「どのようなことを」「どの言語で」相談できるのかを具体的に伝える必要があります。


また、相談先は一つだけにしない方がよいでしょう。


直属の上司、人事・総務、別部署の担当者、登録支援機関、外部相談窓口など、複数の選択肢があれば、本人は相談内容に応じて相手を選びやすくなります。


相談を受けたとき、企業がしてはいけないことは次のとおりです。

  • 「気にしすぎ」「文化の違い」として話を終わらせる
  • 本人を責めたり、本人の日本語力の問題にしたりする
  • 相談内容を無断で上司・同僚・加害者とされる人へ広げる
  • すぐに本人と相手を対面させ、無理に和解させる
  • 相談した本人を不利な配置へ変える、評価を下げる、契約更新をしない
  • 相談したことを理由に、在留資格や退職を持ち出して圧力をかける
  • 記録を残さず、口頭注意だけで終わらせる
  • 事実確認をせず、一方の言い分だけで結論を出す


一方、相談を受けた場合には、次の流れで対応することが重要です。

対応段階

企業が行うこと

相談受付

本人の話を遮らずに聞き、秘密保持と不利益取扱いをしないことを説明する

安全確保

暴力、脅し、深刻な精神的負担がある場合は、被害者の安全を最優先にする

記録

日時、場所、関係者、言動、本人の希望、証拠の有無を記録する

事実確認

本人、相手方、関係者から、できる限り公平に事情を確認する

応急対応

配置、指揮命令系統、勤務時間、相談担当者などを必要に応じて見直す

是正措置

事実に応じ、指導、処分、教育、配置変更、制度改善を行う

被害者支援

本人の心身・就業環境に配慮し、継続的にフォローする

再発防止

研修、周知、管理職教育、相談ルートの見直しを行う


また、社内で解決が難しい場合や、労働法令違反、安全上の問題、差別・暴力などが疑われる場合には、外部相談先を案内することも必要です。


都道府県労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどでは、労働に関する相談を受け付けています。外国人労働者向けのハラスメント情報も、多言語で提供されています。


特定技能外国人の場合は、登録支援機関が相談窓口の一つになることがあります。


ただし、支援を委託しているからといって、企業が対応しなくてよいわけではありません。現場で起きている問題、安全、賃金、ハラスメント、配置などについては、雇用主である企業が責任を持って確認し、必要な措置を取る必要があります。


要するに、相談窓口で重要なのは、
相談を受け付けることではなく、相談した本人が不利益を受けず、企業が事実確認と改善を行うと信じられることです。


相談・発生時はどう動く?初動対応と記録のポイント

6.まとめ:ハラスメント対策は、現場責任者の「伝え方」と企業の「相談体制」で決まる


外国人社員へのハラスメントは、言葉の壁、在留資格への不安、職場文化の違いなどによって、見えにくくなりやすい問題です。


本人が相談しないから問題がないのではなく、相談できない状態になっていないかを企業と現場責任者が確認する必要があります。


企業が取り組むべきことは、
・国籍、出身地、日本語力、文化を理由にした侮辱や決めつけを許さないこと
・安全や品質の指導と、人格否定・威圧的言動を区別すること
・現場責任者が短く具体的に伝え、理解確認を行うこと
・人前での侮辱や長時間の叱責を避けること
・外国人社員が理解できる言葉で、複数の相談窓口を案内すること
・相談内容の秘密を守り、相談を理由とした不利益取扱いをしないこと
・相談があった場合は、記録、事実確認、被害者支援、再発防止を行うこと
の7つです。


外国人雇用のハラスメント対策で最も大切なのは、
厳しい指導をなくすことではなく、相手の尊厳を守りながら、安全・品質・仕事の基準を正しく伝えられる職場を作ることです。


現場責任者の伝え方と、企業の相談対応が変われば、外国人社員だけでなく、日本人社員も安心して働ける職場へ近づいていきます


外国人雇用の不安を、まずはご相談ください
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「この対応は適切だったのだろうか」「相談窓口や社内ルールを整えたいけれど、何から始めればよいかわからない」など、課題がまだ具体化していない段階でもご相談いただけます。現場で起きていることや、責任者が気になっている点を伺い、職場の状況に応じて確認すべき事項を一緒に整理します。すぐに制度を大きく変えることを前提とせず、まずは現在の対応や運用を振り返るところから始められます。

行政書士MP法務事務所では、日本語・英語・ベトナム語でのご相談に対応しています。外国人スタッフ本人との面談や、説明・書類のやり取りについても、言語面に配慮した進め方をご相談いただけます。全国からオンラインでの打ち合わせが可能なため、遠方の企業様もご利用いただけます。ハラスメント防止の仕組みづくりに加え、外国人雇用に伴う在留資格や雇用管理上の手続きについて、状況に合わせて確認できます。

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